昆虫類100100コウチュウ目(鞘翅目)ネジレバネ目シリアゲムシ目(長翅目)ノミ目ハエ目(双翅目)トビケラ目(毛翅目)チョウ目(鱗翅目)ハチ目(膜翅目)合 計チョウ目のチョウ類とトンボ目は生息状況がよく把握されていることから、掲載された種に大幅な変更は無い。その一方、種数の多いコウチュウ目やチョウ目の蛾類は新たに選定された種とランクから外れた種を含んでいる。ハチ目やハエ目は多数の種を含むグループではあるが、絶滅の危惧に瀕している可能性を検討できる情報が不足しており、今回の改訂でも十分な検討ができなかった。〔絶滅〕 ヒメシロチョウは2014年版において絶滅と判定された。今回の改訂においては、いずれもチョウ類のオオウラギンヒョウモン、ヒョウモンモドキ、ウスイロヒョウモンモドキが絶滅種として新たに選定された。これら3種は、前回の改訂でも絶滅種として判定するか議論になったが、時期尚早として見送られた経緯がある。〔絶滅危惧Ⅰ類〕 トンボ目6種、カワゲラ目1種、バッタ目1種、カメムシ目1種、コウチュウ目11種、チョウ目17種の計37種が選定された。 新規に掲載された種は、アオヤンマ、ハッチョウトンボ、ナゴヤサナエ、アオハナムグリ島前亜種、ツマグロキチョウである。この中でハッチョウトンボとアオハナムグリ島前亜種は2004年版では準絶滅危惧、2014年版で絶滅危惧II類として掲載され、経年的な状況の悪化が顕著な種である。 同様に生息状況の悪化が顕著な種として、コバネアオイトトンボ、ナゴヤサナエ、マイコアカネ、ハラビロハンミョウやカワラハンミョウ、ダイコクコガネなどが挙げられる。さらにコカワゲラのように20年以上、生息の確認ができない種もいる。このような種はそう遠くない時期に島根県内から絶滅した可能性を指摘せざるを得ない状況である。〔絶滅危惧Ⅱ類〕 トンボ目7種、カメムシ目4種、コウチュウ目16種、ハチ目2種、ハエ目1種、チョウ目18種の計48種が選定された。 ケシゲンゴロウ、ヒメケシゲンゴロウ、ツブゲンゴロウ、オオミズスマシなどの種は、これまで情報不足としても扱われてこなかった種が今回掲載されている。とりわけ、ケシゲンゴロウ、ツブゲンゴロウ、オオミズスマシは2000年代はじめ頃までは、各地に普通にみられた水生甲虫である。この20年間ほどで各地から急速に姿を消したことになる。カワラゴミムシ、ヒメミズスマシ、コミズスマシ、クロゲンセイは、2014年版では情報不足とされていたが、その後の情報の集積によって判定が可能になった種である。オナガアゲハ、オオチャバネセセリは前回、準絶滅危惧とされていたが、状況の悪化によってランクが変更となった。〔準絶滅危惧〕 トンボ目15種、カマキリ目1種、バッタ目3種、カメムシ目21種、アミメカゲロウ目2種、コウチュウ目35種、ハチ目6種、ハエ目1種、チョウ目32種の計116種が選定された。 2014年版でクロコブセスジダルマガムシとして掲載した種は、その後の分類学的な変更により、出雲市を基準(タイプ)産地として記載された新種イズモコブセスジダルマガムシとして今回掲載した。イチモンジチョウ隠岐諸島亜種も新亜種として記載され、今回、亜種として評価を行った。〔情報不足〕 バッタ目4種、ハサミムシ目1種、ガロアムシ目1種、トンボ目3種、カメムシ目21種、コウチュウ目65種、ハチ目4種、ハエ目3種、トビケラ目6種、チョウ目34種の計142種が選定された。26291112272114023126157912ランクから外れた種 今回の評価において、生息情報の充実などの理由により、以下の種がランク外とされた。ごく少ないと考えられていた種が実際には多くの個体の生息が確認された事例や環境・気候の変化で増加傾向にある種などがいる。 2014年版で準絶滅危惧とされた種の内、9種が今回の評価でランク外とされた:ショウリョウバッタモドキ、マエグロハネナガウンカ、アヤヘリハネナガウンカ、エゾハルゼミ、アカスジオオカスミカメムシ、スネケブカヒロコバネカミキリ、イッシキキモンカミキリ、タッタカモクメシャチホコ、コトラガ。レッドデータブック 掲載種について概観する前に、昆虫類を対象としたレッドリストやレッドデータブック作成の困難さについて述べる。それは、定量評価が難しいことである。定量評価するには、個体数や出現頻度の変動を把握することが求められるが、体サイズの小さな昆虫は観察が困難であることが多く、できたとしても1種にかかるコストが大きくなってしまう。しまねレッドデータブックでは、前回と同様に定性評価としている。今後、環境DNAなどの分析手法が発達すると、昆虫を対象とした定量評価も技術的には可能になるかもしれない。しかし、対象種が増える一方の現状では、コストや人材面の不足によって、十分な検討ができないのではないかと予想する。 次に環境省のレッドリストとの関係である。島根県版レッドデータブックの掲載種の違いは、対象となる地域の範囲が異なっていることであるが、全国的に希少になってきた種についても島根県版では未掲載である場合がある。このような環境省のレッドリストの掲載種は、今後、島根県で減少する種の候補種であるため、注目しておく必要がある。 評価が難しい種は近年になって確認された種である。例えば、水生昆虫では、近年になって発見・記載された種もおり、減少傾向は不明であるものの、生息状況からすでに絶滅危惧種と判定されるケースもあるため掲載する場合がある。 絶滅危惧種と個体数の密度の低い種(いわゆる珍種)は区別が難しいことがある。これは生態や生活史の解明によって解決することもある。これは、一般にレッドリストの改訂を重ねることによって情報が加えられ、単に珍しい種は削除されていく傾向がある。改訂版の掲載種 今回の再改訂にあたって、昆虫を担当する4名の改定委員を含め、全17名の昆虫分科会を設置し、各分類群担当者から提出された候補種とランク付けについて検討し、分科会として決定した。 総数は347種である(亜種を含む)。新規掲載種は47種である。 目別ではコウチュウ目127種、チョウ目105種(チョウ類56種を含む)、カメムシ目47種、トンボ目31種、ハチ目12種、バッタ目8種、トビケラ目6種、ハエ目5種で、アミメカゲロウ目2種、カワゲラ目・カマキリ目・ハサミムシ目・ガロアムシ目は1種である。
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