しまねレッドデータブック2026
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淡水海綿類305305□ヨコトネカイメン 海綿は水中の岩や石やその他のほとんどすべての固形物の表面に付着し、水の中の細菌や微生物、それらの死骸やその他の生物の死骸から生じる小さな断片の有機物を餌として取り入れ生活している固着動物である。そして多細胞動物のなかでももっとも簡単な体の構造をし、筋肉も神経もないので、幼生時期以外は自ら動くことはできない。したがって17世紀頃は体の形状などから植物に分類されていたこともある。 体の表面にある顕微鏡レベルの小さな多くの穴(小孔)から餌を水と共に取り入れる。水を取り入れる力は体内の水の通路に存在する鞭毛室と呼ばれる細胞群の鞭毛によって引き起こされている。そして不要な餌以外のものや老廃物は別のやや大きな穴(大孔)から水とともに排出される。 このような海綿動物のうち、淡水に生息するものを淡水海綿と呼ぶ。淡水海綿の形状は樹枝状、平盤状、塊状そしてそれらの表面が滑らかなもの、大小の突起をもつもの、畝をもつものとさまざまである。しかし形状のみからは種の同定は中々困難である。体は顕微鏡レベルの小さな針状の骨片(骨格骨片)が長い束を作り、それらが網目状をなす骨格によって、さらに種によっては遊離小骨片を加えた骨格によって支えられている。しかし体の構造は強くないため流水域よりも止水域を好み、河川よりも湖や池に多く生息している。河川に生息する場合は浮石の裏面の場合が多く、流れが弱くなった部分を好んで付着している。淡水海綿の色は色素細胞を持たないので、基本的には白からクリーム色であるが、多くは周りの水の汚れに染まって黄土色から黒みがかったものまでと様々である。したがって色からも種を同定することはできない。しばしば緑色をした淡水海綿もいるが、それは体内に共生する緑藻の色によるものである。 淡水海綿の生殖方法には二通りあり、卵と精子による有性生殖と、もう一つは出芽による無性生殖である。有性生殖は淡水海綿の成長にとって良い季節の6〜7月にかけて行われることが多い。雌の体内で受精した卵は幼生となり泳ぎ出て、新たな場所に付着後、変態して新しい海綿となる。無性生殖の出芽はさらに外淡水海綿類掲載種一覧準絶滅危惧(NT)□シロカイメン情報不足(DD)□ツツミカイメン【記号説明】□:カテゴリー区分変更なしの種(3種)↑:上位のカテゴリー区分への変更種(0種)↓:下位のカテゴリー区分への変更種(0種)○:新規掲載種(0種)◇:情報不足からの変更種(0種)◆:情報不足への変更種(0種)部出芽と内部出芽に分かれる。内部出芽とは芽球と呼ばれる構造物によっておこなわれる生殖法である。芽球の中には栄養をもった細胞(芽球細胞)が数千個以上、詰まっている。芽球細胞群は芽球殻によって保護されていて、その殻を支える骨片(芽球骨片)の形は種の特徴をよく表しているので種の同定に用いられる。芽球細胞群は凍結にも乾燥にも耐えることができる。海綿は芽球を体内に数多く作るとやがて退縮し死んで冬を迎えるが、芽球細胞群は生き残り、翌春の水温が上昇すると、殻の一部を溶かして外に出て(発芽)分化した後、新しい海綿となる。また冬期に水位が下がり、乾燥した芽球は骨格から離れた場合は水に浮遊する。それらは浮遊芽球と呼ばれ、流れに乗って他の場所に運ばれる。湖や池では浮遊芽球が岸に多量に吹き寄せられていることがある。 淡水海綿の寿命は海産の海綿と異なりほとんどの種が1年以内である。淡水海綿にとって生存を脅かす凍結や乾燥にであいやすい冬期は上記の芽球の形で越し、種を維持している。少数種の日本産淡水海綿は越冬するが、それらもやがて芽球を残して寿命を終えている。 淡水海綿の種数は世界からは150種を超え、国内では現在、25種が記録されている。島根県内からはシロカイメン、ヨワカイメン、アナンデルカイメン、フンカコウカイメン、カワカイメン、ミュラーカイメン、カワムラカイメン、ジーカイメン、ツツミカイメン、ヨコトネカイメンの7属10種の海綿の生息が確認されており、多くは溜池からの記録である。 淡水海綿は固着動物なので、環境指標動物として有望な動物と考えられる。現在、淡水海綿の多くは中腐水性水域に生息しているとされている。その水域は他の生物も種数、生息量ともに豊富なところである。淡水海綿のそれぞれの種が環境指標動物となりうるかは今後の研究にかかっているが、少なくとも宍道湖に豊富に生息するシロカイメンだけはその生息地が汽水域であることを示す環境指標動物である。(益田芳樹)計3種計2種計1種概説 淡水海綿類

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