維管束植物310310ズネコノオ等の発見、津島辰雄によるイヌドウナ、ツルツゲ、ゲンカイツツジ等の発見、山田 明のホザキノヤドリギの発見、柳浦正夫による各地のシダ植物や県下での水草の状況などの報告がある。 この島根植物研究会の会報によって県下の植物研究は大幅に進展したと言えるのではないかと思われる。近年発表者が少なくなっているが、現在県下の植物を精力的に調査している澤田達也の入会によって息を吹き返している。地元の身近な植物の状況などを発表する手段として絶対に途切れさせてはいけないという意識をもって続けているところである。 さらにこの時期では、國井秀伸による県東部のため池や宍道湖などの湖沼の水草の調査などが特記される。前回のRDB改訂後(2013より) 平成26年(2014)10月21日に植物研究や植物観察を指導されてきた杦村喜則氏が逝去された。これにより植物研究の精神的支柱を無くしてしまったが、県下植物の詳細な記録も失われてしまったということにもなった。 しかし、引き続いて植物研究は継続されている。例えば、「三瓶自然館研究報告」に関わる井上雅仁は草地・湿地研究の他、三瓶自然館の標本管理や研究助成で県下の植物研究に多大な貢献をしている。また「ホシザキグリーン財団研究報告」に関わる三浦憲人は染色体研究の他、□井要介とともにオニバス、佐藤仁志とともにイズモコバイモ研究・保護に尽力している。さらに野津貴章は「松江の花図鑑」というHPを立ち上げ、植物の各形態をアップで掲載し、詳細な解説を加えており、全国的に非常に評価の高い植物紹介コンテンツとなっている。「松江市史史料編1自然環境」(2019)でもシダ類以外のすべての植物写真や松江市植物目録(シダ植物を除く維管束植物)の市内の各町での文献以外の情報はほとんど野津によるものである。 これも以前から隠岐植物の調査を継続しているが、丹後亜興はHPを利用して、隠岐の植物を紹介し、「隠岐の文化財」という郷土刊行誌にハマボウやヒモカズラなど、発見した貴重な植物を紹介している。改訂RDBにあたって 今回のRDBの掲載種の選定ではこれまでの文献を通して減少していると考えられるものや、現状では確認できないが以前は生育したのではないかと考えられるもの等はっきり判断できないものもすべて俎上に載せて今後の検討に資するようにした。そのため前回に比べて大幅な増加となったが、これで憂慮すべき種のすべてが掲載できたと考えているわけではない。ただ、これにより減少している種がとても多いことを認識してもらい、さらに各種の保存を具体的に考えてもらうきっかけになるのではないかと考えている。 今、自然保護の意識は高まっているが、急速に自然環境が変化し、以前は普通に見られた動植物が見られなくなっている状況に、はどめは全くかかっていない。特にため池の植物などは顕著であるし、遷移による林床植物の絶滅、生育が拡大しているシカによる植生の破壊など憂慮すべき事象ばかりである。 植物であればきれいな花の咲く種だけではなく、目立たない、また人知れず絶滅に向かっている種に対しても積極的に、環境を含めての保全を進めていけるようにしていきたい。そのための現状の調査にとどまらず、積極的な保全にも貢献できればと考えている。 以下に長年島根県の植物を見続けてきた杦村喜則による前回RDBでの「植物相の概要」における思いも取上げておきたい。植物分布の概要 島根県は本州の西端域に位置し、東西200kmにおよぶ海岸線、本土から40km北方に位置する隠岐諸島、汽水湖である宍道湖・中海、海抜1,000〜1,300m程の中国山地脊梁部と多様な環境をもっている。年平均気温は海岸域で14〜15℃、中国山地域で10〜11℃前後で、冬山地には根雪も見られる。 特徴ある植物を各項目にわけて記述する。南方から続く種 海岸部に生育する種は海岸線で北上して生育している場合もあるが、内陸部で特に谷部に生育する種は瀬戸内海から中国山地の 「植物相の概要」で記載されている種類の多くは改訂版種選定カテゴリーの定義に従い、絶滅が心配される種として選定されているが、これらの植物種はもともと、生育する場所が限られていて、生育地の範囲、面積が小さい場合のものである。しかし、ここに取り上げられた植物の中には、過去においては生育地が広い範囲にあって、当時では絶滅が心配される状態でもなかったものが、何らかの原因によって現在では存続が危惧される状態となったと考えられる種もある。本文解説中の選定理由に多くが「……生育地が限られ……」と記述されていて、現在に至る状況は記述されていないが、その植物の分布上でのもともと限られている場合と何らかの原因により生育地が限られてきた場合もある。 昭和30年代において植物に対しての直接あるいは間接的な干渉の結果として、植物の種類によっては生育地や個体群の激減、消滅が気付かれるようになった。化石燃料が有効に利用されて、薪炭が不用となり林地が放置されることにより、特に林縁草地などの草原状地の植物、オキナグサ、ムラサキセンブリ、ヒゴタイ、マツムシソウ、フクシマシャジン、リンドウ、キキョウ、オミナエシ、センブリなどが激減してきた。また、機械化により、牛馬飼育のための草刈りは不用となり、同様に草原性植物が激減してきた。一方、各種土木工事は機械による効率化から農地での区画整理などにより水田周辺の水湿地の植物がかなり影響を受け、県内ではサンベサワアザミ、イヌセンブリ、トモエソウ、カキランなどの植物が激減し、生育地が消滅した場も多い。水田に関しては除草剤の開発、使用により水田雑草はほとんど絶滅状態である。山間の水田などでは僅かに水田周囲の水湿地に残されていたスブタ類、ホシクサ類など、減反政策により一時的に息を吹き返したようにも思われたが、水田周囲が樹林化することにより、絶滅寸前であり、県内全域での現状がつかみにくい。また、溜池や用水路においても同様にこの時期に多くの水生植物が激減、消滅した生育地が多い。特に里山の溜池では、除草剤や生活廃水の流入も考えられない池においても水生植物が全滅してしまった池が多く存在している。 谷部などの低地を越えて分布しているのではと考えられる種もある。これには分けにくいが南方系の種と分布の中心が太平洋側である種が考えられる。 ここにあげられる種は、従来、太平洋岸での分布のみが図鑑等に記述されていたが、日本海側での分布についても重要である。特に長い海岸線をもち、さらに本土から離れ、石川県と同緯度の隠岐をもつ島根県での分布情況は非常に重要であると考える。⑴ 西部までの分布 ホウライヒメワラビ、オニマメヅタ、シマサルナシ、イガクサ、オオカグマ、トキワススキ、タイミンタチバナ、コバンモチ、ク
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