しまねレッドデータブック2026
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地衣類6296291993)、チブサゴケ科3種(Matsumoto 2000)、サルオガセ属3種(Ohmura 2001)などがある。近年では、カラタチゴケ属Ramalinaの3種がKashiwadani et al.(2023、2025)によって報告されている。これらの論文でリストされた種は今後、島根県の地衣類相の研究を行う上で貴重な資料となるであろう。 文献による報告種160種と、2001年から2003年にかけて中西稔と畑山経弘が島根県内で調査した結果、中西稔が標本として保存していたもの、さらにこのたびのレッドデータブック改訂に際して竹下俊治、柏谷博之、文光喜が行った現地調査によって新たに確認されたハクテンヒメキウメノキゴケFlavopunctelia flaventiorを加え、県内において確認された地衣類は67属193種となった。なお近年、DNAの塩基配列に基づく分子系統学的な解析により、多くの生物の分類体系が見直されている。地衣類を含む菌類も例外ではなく、今後詳細な研究が進むことで、地衣類相が修正される可能性があることを付記しておきたい。 今回の島根県のレッドデータブック改訂に当たり、地衣類の絶滅危惧種の選定を行った。環境省の絶滅危惧種に指定されているコウヤハナゴケの他に原生林など自然度の高森林の樹木の樹皮に着生し、大気汚染特に酸性雨等に弱いヨコワサルオガセUsnea diffractaや、これまでの調査研究では国内に広く分布するとされていたものの、近年特に森林の荒廃や伐採が目立つアカマツやクロマツに着生し、個体数を極端に減少させているトゲサルオガセUsnea aciculiferaとコフクレサルオガセUsnea bismolliuscula、自然度の高い森林内でしか生育できない地衣類で、県内では隠岐(島後)にのみ分布しているテリハヨロイゴケSticta nylanderiana、アツバヨロイゴケSticta wrightii、国内でもきわめてまれで限られた地点にしか生育していないトゲカラタチゴケRamalina tumescens、ハイイロカラタチゴケRamalina cinereovirens、 フ ク レ カ ラ タ チ ゴ ケRamalina intestiniformisを 絶 滅 危 惧 種 に 選 定 し た。 ま た、 比 較 的 自 然度 の 高 い 地 域 で 見 ら れ る キ ン ブ チ ゴ ケPseudocyphellaria aurataは全国的にも減少傾向にあり、準絶滅危惧種とした。この他注目すべき種として、太平洋側には豊富であるが、日本海側では極端に少ないトゲシバリCladia aggregata、ドテハナ ゴ ケCladonia caespiticia、 オ リ ー ブ ト リ ハ ダ ゴ ケ モ ド キPertusaria obsorescensなどがある。これら地衣類種の生育状況については今後注視していく必要があろう。  各 種 解 説 の 学 名 は 原 則 と し てOhmura & Kashiwadani(2018)に、高次分類群名については大村ほか(2025)によった。(中西 稔・竹下俊治)引用文献Harada, H. (1993) A taxonomic study on Dermatocarpon and its allied genera (Lichenes, Verrucariaceae) in Japan. Natural History Research, 2(2): 113-152.Inoue, M. (1981) A taxonomic study on the Japanese species of Fiscidea (Lichen). Hikobia Supplement, I: 161-176.Inoue, M. (1983) Japanese species of Huilia (Lichenes) (2). The Journal of Japanese Botany, 58 (6): 161-173. 地衣類は、菌類と藻類で構成された共生体である。適当な光と湿度を好み、安定した環境条件のもとでは多様な種が生育しているが、わずかな環境の違いが生育に影響するほど環境変化に敏感な種もあり、地衣類種の多様性は安定した環境の指標であるという見方もできる。地衣類の繁殖は、胞子のほか、粉芽、裂芽や地衣体断片といった無性的な散布体によっても行なわれる。これら散布体が母体から離れ、生育可能な条件の樹皮や岩上などに到達したものが若い地衣体を形成する。地衣類が生育できる着生基物は種によって決まっていることが多く、樹木や岩石などの種類や状態に対して強い特異性を示すものがある。このため、絶滅が危惧されている地衣類の多くは、そのような特異性が強く、わずかな環境条件の変化でも生育できなくなる種であることが多い。したがって、自然林の伐採や護岸工事などの土地開発・改良に加え、土砂崩れなどの自然災害も種の絶滅の要因となり得る。また、地衣類には藻類が共生しているため、その生育には光条件と湿度のバランスが重要である。県内の植生と地衣類との関係をみると、低地域の社寺林ではスダジイを優占種とした森林がよく保全されている。山間部では、森林構成種としてウラジロガシやアカガシ等常緑広葉樹林が優占種となることが多いが、地衣類の生育する条件としては、やや光量不足で大型の地衣類相は貧弱である。その中でも出雲市に位置する鰐淵寺の社寺林は、適当な光と側を流れる小河川から供給される水蒸気によって湿度が絶えず保たれている。そのため地衣類相の豊富な森林となっている。その他、アカマツやクロマツを主とした出雲大社の社寺林では直径50cmを超える古木が多く、地衣類や蘚苔類も豊富である。しかし、このような里地の森林は、開発や大気汚染などの影響を受けやすく、森林環境の変化にともなって地衣類相も変化しつつある。また、地衣類が好む森林環境としてブナ林があるが、県内では飯南町や中国山地沿いに残存している程度で小規模であるのは残念である。県内で地衣類相の最も豊富な地域として隠岐諸島がある。本県での貴重な種のほとんどは大満寺山、鷲が峰など海抜300mを超える山中に生育するクロベ、ヒメコマツ、イタヤカエデデ、カツラなどの樹皮に着生している。その他、五箇村の岳山、西ノ島町の焼火山神社の暖温帯常緑広業樹林などは地衣類の豊富な環境であり、今後も保全すべき森林である。 島根県においては、地衣類相について現在まで十分に調査されていないが、比較的まとまった報告として、Kashiwadani(1985)が隠岐諸島の地衣類141種を報告している。この中で、コウヤハナゴケCladonia koyaensisが日本で和歌山県高野山に次ぐ第2番目の産地として報告され、また、国内では分布の南限となるカラフトカブトゴケLobaria sachalinensis、日本産として初めての報告となるPhaeophyscia sciastraや稀産種に属するナガサキトリハダゴケPertusaria nagasakensisも報告されている。このほか県内の地衣類を取り上げた報告としては、1900年代初頭のWainio(1918)などや、日本産地衣類のモノグラフの研究において検討された島根県産の標本として、モジゴケ科11種(Nakanishi 1966)、トリハダゴケ科6種(Oshio 1968)、ムカデゴケ科6種(Kashiwadani 1975、1977a、b)、ヘリトリゴケ科3種(Inoue 1981、1982、2000)、チャシブゴケ科1種(Miyawaki 1988)、アナイボゴケ科1種(Harada 概説 地衣類

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